佐々木隆仁が語る過去と未来19

リーガルテック、秘史

不祥事を予防する

たとえば、リーガルテックの領域でいくと、今までは不祥事が起こってから調べますという対応でした。でも、そのときは火だるまになっていて、記者会見がありますとか、発表をしなければいけないがなかなか証拠は出てこない、プレッシャーばかりかかってきます。対応を誤れば、糾弾されて、後の祭りです。我々はそれを調査している立場なんで、文句を述べる立場にはありません。でも、これから先を考えると、事前対策が重要になります。不祥事が発生してから対応していたのでは間に合いません。不祥事が起こるまえに、対策をしないといけません。不祥事が起こることを予知しないといけないのです。

では、不祥事が起こることをどうやって予知するか、やはりデータを使うしかないと思います。たくさんのデータを、クラウドに上げて、活用できる状態に常時しておいて、解析し、これから起こりそうな問題を事前に予知する対策に舵をきっていかないと、十分に対応しきれない時代に入ってきています。したがって、経営のやり方も根本的に変わると思います。もっとも怖い例が中国のような国が、全国民を監視する技術を使う世界に入っていくことです。企業も、同じように監視をするようになるのか、やはりどうしたらよいかを考えないといけません。みんなが苦しい思いをする社会は嫌です。行き過ぎた監視社会なんてろくなものではありません。かといって何もしないのもだめで、これから先のコンプアライアンスがどうすればよいのかを考えたときに、経営者は難しい判断を求められていくと思います。そんな時代になっていると思います。それをどうやって、形作りながら、世の中をよくしていくかがとても大事であると思います。

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