佐々木隆仁が語る過去と未来17

リーガルテック、秘史

ドライブレコーダーの普及で、動画の復旧にも新技術が

データの復旧でいろいろな事件を見ましたが、今は不祥事が増えています。なぜ増えているかというと、不祥事を立証できる証拠が増えているからです。以前では、わからなかったものが、わかるようになってきました。最近では、ドライブレコーダーです。街中の車の搭載率が上がって、動く監視カメラと化しています。その結果、以前では残らなかった記録が映像として残っているケースが非常に増えてきています。今、監視カメラに映らないように、どこからどこまで歩く、といったことは不可能です。しかし、都合が悪いと消されてしまったりとか、あとは、画質が悪くて不鮮明であるといったこともたくさんあります。そのために、鮮明化の技術とか、消えたデータを復元する技術などが必要になります。動画の場合、全部を復元することはできなくても、フレーム単位で復元できればよいという依頼もあります。つまり、その瞬間が撮れていればいいのです。全体の動画ファイルとしては破損だらけで見ることはできません。でも、たった1フレームでも、決定的瞬間が撮られていれば証拠になるのです。そうなると、フレーム単位での復元が必要になります。そのような技術を開発していく流れもありました。

今は、何か悪いことをすると、どこかにデジタルデータで証拠が残る時代に突入しているのが、大きく変わってきたことかと思います。では、これから先はどうなるでしょうか。デジタル証拠のデータをどう扱えるかが、企業の運命を大きく分けていくと思われます。これが、もう1つの側面であると思います。

中国が代表例ですが、監視が進み、人権のない国で監視社会が進行しています。街中に誰がいるか、瞬時に判定することが可能になっています。そんな超監視社会が始まりつつあるなかで、テクノロジーをどういう形で世の中に役に立つように使っていくのか、といった視点も重要になってきていると思います。そこにプライバシーも意識しながら、セキュリティも意識しながら、進める必要があります。リーガルテックは変な使い方をすると、とんでもない武器にもなってしまいます。 そんな環境で、いろいろな国がせめぎあいをしています。私は、意外に日本にチャンスがあると思っています。日本人はまじめな人が多いので、わりと変なことに使う-もちろん、そのような人もいますが-ことなはく、比較的王道をいきそうな感じがします。国家は時に横暴であったり、強権を発動することがあります。しかし、日本はそのようななかで、いいサービスやいいソフトウェアを作るチャンスがあると思います。

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