佐々木隆仁が語る過去と未来15

リーガルテック、秘史

困難をきわめたガラケーからのデータ復旧

たとえば、ガラケーを調べてくださいと依頼されます。しかし、ガラケーは機種ごとに仕様がバラバラなんです。OSも統一されていません。きわめて復旧作業が、難しいのです。基礎となる復元技術があっても、それぞれ仕様が違うので、一品一品、復元ソフトを作るような感じでした。

実際に復旧を依頼されても、いきなり証拠のハードウェアを触るわけにはいきませんので、サンプル機を2個くらい買ってきます。それが、けっこう高かったりました。内部を解析し、いろいろ調べて、こうやれば復旧できるとわかってから本体に着手します。ものすごい時間と費用がかかりました。最初の頃は、まったく採算が合わないので、かんべんしてくださいという話をしていました。でも、私にとって、やったほうがよいだろう思った理由があります。まず1つは、持ってこられる媒体が、とても重要な事件の証拠品であったりします。新聞に出ているような事件で、これは大変なことだとわかる話も多くありました。しかし、そんなにお金はかけられませんといわれます。そんな状態のなかで、たまたま、この案件を受けられたのは、2000年の時代に、多くの投資を受けられたことです。それがなければ、できなかったと思います。ITバブルの時代だったのですが、20億円以上の投資を受けることができました。そのお金があったので、需要あるならばやってみようということになりました。

先ほどもお伝えしましたが、市場が必要としているものをどうやって提供していくかが、商売で成功する道であると私は思います。どうしても復元してほしいという人がいるならば、必ずそこにはビジネスがあると思います。しかし、実際にやるととても大変です。ガラケーの時代は、本当に商売になりませんでした。復旧しても、たいした金額がもらえるわけでもなく、手間ばかりがかかりました。

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