佐々木隆仁が語る過去と未来16

リーガルテック、秘史

ガラケーからスマートフォンへ

しかし、スマートフォンの時代になると、少し流れが変わってきます。正直、スマートフォンのほうが復旧しやすいんです。そして、次々と証拠を出していきました。すると、情報漏洩事件が多発するようになります。その結果、セキュリティレベルが上がってきました。現在は復旧するのがすごく難しくなりました。今のスマートフォンは、暗号化チップを搭載したモデルもあります。暗号化されていると、データを取り出すことができなかったりします。さらに、昔はデータの消去はできませんでした。怖い話ですが、中古携帯ショップへいって、弊社に持ってくると、データ復旧ができてしまいました。社内でも「これって大問題では」と話題になりました。

当時、復元ソフトをパソコンの復元ソフトと同じように、ガラケーの復元ソフトとしてリリースしようかと思いました。しかし、上述の問題点もあり、かなり悩みました。中古携帯ショップで携帯電話を買ってくれば、データの復元ができてしまう、さすがにこれは売れないだろうと、市販ソフトとしては出すことはできませんでした。そのくらい、当時は規制が緩かったともいえます。そして、その頃は証拠もたくさん出すことができました。

現在では、データ消すためのセキュアイレーズという機能がチップのなかに搭載されるようになり、かなりきれいにデータが消されてしまいます。データも暗号化され、データを取り出すのがすごく難しくなっています。それを突破するためのテクノロジーの開発も必要になってきています。そのせめぎあいがまさにリーガルテックの世界です。市場のニーズに合わせ、どうやって高度な技術を使い、必要となる証拠を出していくか、こうして発展してきたのがリーガルテックの領域になります。

データ復元ソフトを売り始めた頃から、1つ発見があったのは、リーガルテックが世の中に必要なものであること、復旧作業を続けていくなかで、日本だけでなく、世界中の事件に関わるようになりました。重要な証拠を出すという仕事をやり続けたのは、もう1つ我々が体験してきたことであると思います。

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